令和 3年(2021年)12月12日。
萩の塚から三勲神社方面へ帰る途中、おのころ坂を降りきる手前で景色に似合わない物が目に入っってきた。それは赤いコーンに囲われた木に似せたプラスチック樹脂の棒が積み上げられた景色だ。すぐにおのころ坂の階段の改修工事をするのだとわかった。
前々回の記事で萩の塚に至る階段の棒が朽ちて雨水が道の脇を削って通りにくいという話題を書いた所だったので、この改修のタイミングに驚いた。
さて、あのプラスチック樹脂の棒をどうやって運んだのかと思ったら降りる道々に車両の轍跡が見られた。山の趣ある静かな径が重機による凹凸拡張によってまるで工事中の道路になっていた。まさか萩の塚に至る径に車両が入るなど想像もしていなかった。
登山口にまで降りた所で径を荒らした犯人を見つけた。なんとも小さな工事車両があるものだが、よくあんな道が登れるものだと感心もした。とりあえず街からプラスチック樹脂の杭をこの登山口に集積しここからおのころ坂の下まで運ぶのだろう。
2021年12月12日
2021年12月26日
前々回に階段が朽ちて通りにくい記事を書いたがこれはなにも階段を改修してもらいたいために書いたのではない。階段があるとよけいに登り降りがしにくいと言う声はよく耳にする。私もその一人だ。
また山中の階段は管理できず放置すると前々回の記事のようになってしまう。実際にこの径を歩いている者として、今ある道は自然を体験するに丁度よい。先だって小学校1年と3年の子供らを連れてきたが、子供達は階段を通りたがらない。あっちこっちとうろつきながら自然の坂道を楽しんでいるのだ。
2022年1月10日
階段の必要性は市民のための公園と言う発想から生まれてくるのであろう。誰もが気軽に入れる公園造り。確かに近年は派手な半パン、ランニングにサングラスといった姿で操山を駆けている人達が増えた。旭川河川敷のランニングコースと同じ感覚なのだろう。
2022年1月16日
2022年1月27日
以前の記事に萩の塚ですごい数のムカデに驚いた話を書いたが、操山には触ればかぶれる漆の木もあれば毒ヘビのマムシもいるしダニも沢山いる。山に入るなら葉や枝で素肌を傷つけないような服装は当たり前なのだが、半パンランニングの人達は山に入ると言うより公園のランニングコースと同じ感覚に違いない。
祖父の代から長年操山の趣有る径を歩いてきた者にとっては、市街地の公園道路の改修工事を行う感覚で出来る立派な山道よりも、多少上り下りの苦労はあっても、それだからこそ味わえる山の良さを知ってもらいたい。
改修以前のおのころ坂
おのころ坂改修工事は2月24日に行くと立ち入り禁止の柵も無くなりどうやら完成したようだった。道幅は集団マラソンが出来るぐらい倍以上に広げられたが、階段はプラスチック樹脂のある部分と土嚢むき出しのままの部分とすごく中途半端なものになっていた。
操山は昔からそして今も貴重な里山である。山に入ればコゲラが木をつつく音が聞こえるし、秋には栗の実が沢山落ちている。数十年前まで松茸も沢山とれていたのだ。
たしかにその時代時代に合わせた山の姿があってもよいかもしれない。だが人それぞれに変わって欲しくない操山との思い出があり、操山にはそれを思い出せるようにその姿を留めて置いて欲しいという思いもあるはずだ。
私にとって操山は祖父が登り、父が雨の日も雪の日も登った山である。そして萩の塚の面々を思い浮かべるだけで懐かしい懐かしい場所である。出来ればいつまでも変わらずにあって欲しい。そう願っている。